山口県防府市(ほうふし)。
甘いタイプの醤油が一般的な山口県にて、伝統的な木桶での熟成。山口県産の丸大豆での仕込みもしています。
桑田浩志さん
リクルート出身の珍しい経歴と「うちの商圏は防府市」宣言。地元に愛される正直な醤油を造り続けたいと、並々ならぬ情熱を注いでいます。
濃口醤油は製法によって「本醸造」「混合」「混合醸造」の3種類に分けることができます。桑田醤油はこの3種類の醤油を全て手がけています。
どっしり構えるのは小麦を炒る機械。歴史を感じずにはいられないレンガ造り。もちろん現役で稼働しています。
木桶で仕込みをしている蔵は山口県では珍しい存在。写真は諸味(もろみ)の様子。山口県の自然環境の中でじっくり熟成の時を過ごします。
醤油の搾り機。
まだまだ一升瓶が活躍しています。
地元の料理店などにはもちろんのこと、小学校の給食や病院などにも桑田醤油が運ばれています。

facebookのファンページからも桑田さんの人柄や地元の方との繋がりを感じることができます。
商売をする時、商圏をどんどん増やして売上を積み重ねていこうとするのが一般的のように感じます。ところが、「うちの商圏は防府市」と桑田さんは言い切ります。「県内の宇部市への出荷でも、うちからしたら輸出するようなもの!(笑)」とも。
生産量・売上が、少しづつ減少している醤油業界で、このような発言をする醤油屋さんは珍しいなと感じるのですが、当の桑田さんの経歴もとってもユニーク。
旅行をする時にお世話になる「じゃらん」、結婚式を前にして「ゼクシィ」、住宅を探す時に「SUUMO」など、テレビCMや雑誌などでもお馴染みで、起業家を輩出することでも有名なリクルートグループ。その中で「はたらいく」「フロムエーナビ」「とらばーゆ」「タウンワーク」等扱う株式会社リクルートHRマーケティングを経て故郷に帰ってきたのです。
「最初から実家に帰ってくる予定だったのですか?」という質問に、「全くなかったのです!」と言い切る桑田さん。
「実は、ITベンチャーの立ち上げを計画していたのです・・・」と話を続ける。出資者の目処もついて本格化しようとした矢先にふと気づいたことがあったそうです。ベンチャー全てそうではないと前置きをしつつ、「そこにはお金でつながっている人間関係があったのです。」
「そんなことを感じている時に実家に帰った、すると『忙しいから手伝え』と。当然そうなるわけで配達に出かけたのです。ある日、山奥のお年寄りの家に醤油を届けにいきました。片道40分以上かけて1本数百円の醤油を置いて帰ってくる。これ完全に赤字ですよね。ただ、『桑田醤油じゃなきゃ、ダメだめなんじゃ』って、キラキラした笑顔でいってくれるお年寄りが沢山いるわけです。その時、『利益を上げることだけが仕事じゃないな』って強く感じたのです。」
そして、実家に戻り全てが順風満帆に・・・とは程遠い状況だったといいます。スーツ姿で営業をしていた日々から、長靴をはいての仕込み作業の日々。想像以上にキツイ作業、そして資金繰りも厳しい。
なんとか歯を食いしばって数年後に赤字体質を脱却。
そして、そのタイミングから手がけたのが山口県産丸大豆による仕込み。
山口県は甘い醤油が一般的に使われていています。アミノ酸液と甘味料を加えて甘みづけをしている脱脂加工大豆の醤油が中心で、丸大豆をベースにする醤油はほとんどなかった。当然、山口県で山口県産丸大豆と山口県産小麦での仕込みをしている蔵もなかったそうです。
昔ながらの木桶で、山口県の気候の中、醸造を続けています。それならば、山口県でしかできない醤油を造りたいと思いました。『山口県の大地で育った大豆と小麦を使用し、約100年山口県で歴史を刻んできた木桶で、山口県の四季を感じながらの醤油づくり』、まさに山口県の醤油です。当然、単に丸大豆を買ってきて仕込めばいいというほど簡単にはいかない。設備にも改良を加えなければならない。そして、最大の課題は丸大豆の醸造ノウハウがないことでした。
そこで頼ったのが、この職人醤油でもお馴染みの岡直三郎商店(群馬県)。先代(父)が群馬に足を運び丸大豆での仕込みの教えを請い試行錯誤の日々。その末に地産地消の証明「正直やまぐち」マークの使用が認められる山口県内で唯一の醤油が誕生するのです。
「甘い醤油をプライドもって造り続けたい。」と、桑田さんは力強く語ります。甘いタイプの醤油は添加物が入っていることが多いから、体に悪いという誤った見方をされがちです。
無添加・有添加/価格の高い醤油・安い醤油など様々な醤油が流通していますが、それぞれにメリット・デメリットがあり正しい情報が消費者に伝わっていないという現実がある。
桑田醤油は「大豆、小麦、食塩だけの醤油」と「有添加の醤油」両方が揃い、濃口醤油の製法による分類である「本醸造」「混合」「混合醸造」、3種類すべてが揃う珍しい蔵、だからこそニュートラルに発言できる。「消費者に対して、真っ直ぐで正直な醤油屋でありたい。いつ誰が突然見学にお越しになられても、どうぞどうぞといえる醤油づくりをしたいのです!」
正直がモットーの桑田醤油が杉樽で一年半熟成させた甘みのある醤油。山口県産の小麦を使い、地元のスーパーや食料品店のほとんどで定番商品となっている混合醸造の醤油。
甘みのある醤油は煮物やお刺身にはもちろんお薦め。そして、桑田醤油の女将さんがお薦めするのがポテトコロッケや具の味付けにお使いいただくというもの。
半分以上が橙果汁でできています。爽やかな香りの橙果汁は薄めてしまうと香りがなくなってしまうことが弱点。だから、果汁たっぷりに昆布だし・鰹だしとブレンドした本格派。
下関のふぐ料理には欠かせない存在の橙ぽんず。本格的な日本料理店で多く使われています。鍋や餃子や焼肉のたれ、ドレッシングなどに。
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