2012.02.03
木の中心は赤くて外側は白い。
なんとなく想像いただけるでしょうか?
木の外側は若くて、時間が経つと組織が変わって赤身になっていく・・・その赤と白の境界線が「白線帯」とよばれるもので、組織の密度が高くてアルコールが抜けにくいと言われています。
もともと、「酒蔵が新桶をつくる」→「桶職人の元に戻ってきて、組み直し」→「味噌・醤油蔵に再び運ばれていく」という桶のリサイクル循環があったそうで、白線帯が含まれている「甲付板」が、酒の桶には珍重されてきたというわけです。
上の写真の一枚一枚の板の断面をみると赤身と白身が確認できると思います。
そして、板の幅はそれぞれ異なります。木材を有効利用するためなのですが、「よくこれで、綺麗な円形の桶がつくれるな・・・」と、少し不思議に思ってしまいます。
丸太からの切り出しは住宅建材とは切り方が違うそうで、桶屋が大工より多くいたといわれる明治時代には桶専用の木材を切る「木取り商」という職人たちがいたそうです。ただ、現在ではそのような方たちはいないわけで、桶職人が丸太の切り出しから指示をしなくてはいけないそうです。
先の写真にあった一枚一枚の板を「側板(がわいた)」と呼びます。
そして、側板と側板が接する面を正直(しょうじき)といって、角度が付けられていたと思います。(*2枚上の写真)この角度によって組み上げた時に綺麗な円がつくられます。
その正直面を削るのが正直台。
長い巨大な鉋なのですが、斜めにたてかけてその上に滑らせることによって削ります。ここがきっちりできないと組んだ時に綺麗な円形にならない上に、液体の漏れにつながってしまう重要な工程。
「大工の感覚からすると鉋(かんな)は引いて削るもの。
この押して削るというのは自分たちからすると不思議な感覚だ・・・」と大工さん。
押切(おしきり)とよばれるこの作業。思った以上に難しいと山本さん。こっちの角度を合わせようと思うとこっちがズレる。一枚一枚の側板が2メートルくらいの長さがあるので、何回かに分けて押す必要があるのですが微妙な調整が難しい。
「1回目と2回目で微妙に角度が変わっているんだよ。力加減も同じにしないといけない。理想は3押しくらいだな!」職人はこの3押しを数回繰り返すだけでピタリと合わせてしまう。
「実際にやってみると思いのほかできない・・・」と山本さんは苦笑い。
気がつくと「あれ、もうお昼?!」というくらい没頭していたのですが、繰り返し作業をしていくと徐々にスピードと正確さが増していくもの。体が感覚を覚えていくという感じなのかもしれません。
いよいよ次回は、桶に組み上げていく前準備です。