木桶仕込みの蔵
日東醸造

白醤油の原点を追求する
「昔の白は違ったような気がする」そんな先代の一言から、白醤油の追求がはじまりました。仕込み方を試行錯誤して、良質な水を探して、そして、本社工場から遠く離れた地に蔵を構えることに・・・
「昔ながら」と「時代の先端」
日東醸造の本社工場の衛生管理に驚きました。白衣着用はもちろんのこと、念入りな手洗いから粘着テープのローラーがけまで細部にわたって徹底されています。一般的な醤油工場の基準からするとかなりの最先端です。

本社工場から車で90分の場所にある足助仕込み蔵
一方で、地元の方が「愛知の北海道だ。」と表現するくらい、夏でもエアコンいらずの山里があります。ここが日東醸造の「足助仕込蔵」。ただ、外観は小学校。これまた珍しいと驚いていると、蜷川社長が経緯を説明してくれました。「最初は水を探していたんです・・・」
・・・話は平成の最初の頃に遡ります。

「昔の白は違ったような気がする・・・」
きっかけは先代のこんな一言。明確に何が違うというわけではなかったそうです。製法なのか原料なのか、先代のわずかな記憶を頼りに昔の白醤油探しがはじまったそうです。
麹と仕込水の割合を、通常の1:2から1:1に変えてみる。すると収量は少なくなるものの、しっかりした味になる。ただ、白醤油の特徴である淡い琥珀色が濃くなってしまう・・・これではだめだ。
色が濃くなる要因の一つは原料の大豆。では、大豆を一切使わないようにしよう・・・そんな試行錯誤を繰り返す中、良い水を求めるのは当然の流れだったそうです。

一目惚れから方向転換
「いつも頭の中は水だったのです。」人に会っても質問するのは水、水、水。するとある町の助役さんから「あるよ!」という思いがけない回答。早速、現地に同行させていただくと行く手は深い山道に。
「本当にこの先に町はあるのか?」不安を抱えつつ車を走らせると、頂上を過ぎて少しのところに集落を一望できるポイントがあります。「この風景にやられてしまいました。この地で醤油をつくりたいと思ってしまったのです!(笑)」

絶対に怪しい!からのスタート。
当初の考えだった「水を本社工場に運ぶ」ことから一転、この地で醤油をつくることに。ちょうど、廃校となった小学校の建物を借りられることになりそう・・・だったのですが、地元の方にご理解いただけるまでに2年くらいはかかったそうです。
車で90分も離れた会社がこの地で醤油工場をつくる。地元の方からすれば「なぜ?」となるのは当然のことだと思います。「むしろ、絶対に怪しい!となっていたと思います。(笑)」と蜷川社長は当時を思い返して笑顔に。
何度話し合いをしても進まず、マイクロバスで本社工場の見学に来ていただくことにしたそうです。すると、「本当に醤油をつくってる!(笑)」となり、話は進み始めました。

「しろたまり」は醤油ではないんです。
醤油の定義の一つに大豆を使っていることという項目があります。一般的な白醤油は少量の大豆を使っているので醤油と名乗ることはできます。ただ、前述のようにこの「しろたまり」は大豆を一粒も使っていません。そのため醤油と名乗ることができないのです。
白醤油を追求した結果、醤油と名乗れなくなってしまう。「当時は驚きましたがルールには従わなくてはいけない。大量に仕込む中に1粒だけ大豆を忍び込ませるなんてこともできなくはないですが、そこは正直にいこうよということで、小麦醸造調味料と名乗っています。」





ご近所さんが営業マン?!
足助仕込蔵の見学を終えて、ご近所さんに挨拶すると少し寄っていきなということで、こたつを一緒に囲ませていただきました。最初は反対をしていたという当時の様子を伺おうとすると、「今は日東醸造が誇りなんよ。もっと多くの人に知らせたい。あなたは醤油を売っているんだろ?だったら、日東醸造を世界に紹介してくれよ!」
いつの間にか、ご近所さんが日東醸造の営業マン状態に。そしてトークはどんどん熱を帯びていきます。恥ずかしさのピークに達したように蜷川社長が「そろそろ・・・」と口にするも、一切お構いなしに日東醸造自慢をし続けていただきました。

電話をかけたときにスマートな対応ぶりは醤油業界トップクラスだと思います。そして、いつお伺いしても皆さん笑顔で、スタッフの方同士がとにかく仲良し。そんなところも日東醸造の魅力の一つだと感じています。

昔の白醤油を追求したこだわり
価格 : 381円+税
原材料 : 小麦、食塩、焼酎