木桶醤油の特徴を大学の研究機関で分析

香りと味を分析

一般社団法人木桶仕込み醤油輸出促進コンソーシアムの取組みとして、木桶醤油の特徴を科学的に分析をした資料があります。その内容を簡単に紹介します。まずは、木桶醤油とタンク醤油の香り成分と呈味成分(グルタミン酸やクエン酸など)を分析して比較したものです。

おおまかに言えることとしては、木桶醤油の方がタンク醤油より、蔵元ごとの特徴にバラエティがあるということです。上図はどこに位置する醤油が良い悪いというものではなくて、位置する場所が近いと「似ている」ということを視覚的に分かりやすくしているものです。つまり、木桶でつくると蔵毎の香りの特徴の差が大きいということです。

さらに分析データを細かく見ていくと、大手メーカーのものは醤油の代表的な香り成分がしっかり高い、という印象でした。醤油に含まれる香り成分を分析したときに、醤油にこの香り成分は必要だよねというものはしっかりと含まれていて、学校に例えると、進学校クラスというか、受験に必要な科目はしっかり勉強していますという感じでしょうか。

一方の木桶醤油の場合は、蔵によっては必ずしも醤油を代表する成分でないものが突出して高い数値を出していたり、偏った香り成分に集中していたりと、また学校に例えると、アニメちびまる子ちゃんのクラスのように様々な個性が一クラスになっているような印象でした。

「微生物」を分析

続いて、木桶とタンクで微生物がどのような生息するかを調べるために、菌叢(微生物の集合体)解析と電子顕微鏡による観察をした内容です。

木桶の方が、菌がすみつきやすい環境にあり、種の多様性があるという結果を見ることができると思います。木を顕微鏡で拡大をすると小さな穴が見えると思いますが、そこに微生物がすみつけるのが木桶の特徴ですと説明することが多いのですが、それらを示している内容です。

一言で微生物といっても様々な種類のものがいるわけで、その中には醤油づくりに欠かせないものから、直接的な働きをしていないものもいるはずです。そして、微生物は自らの種を増やす生存競争というか陣取り合戦をしているわけですが、仕込みの段階では同じ数の微生物であっても、木桶の方が多様な種が生き残りやすいという解釈もできそうです。