醤油の知識
色が薄い?甘くない? ─ 醤油屋が受けるクレームから見えるもの

溜醤油のクレームは「色」についてが多いらしい
クレームはできれば避けたいものです。商品を間違えて届けしてしまった、期日までに届かなかった ――明らかな過失は、すぐに改善するべきなのですが、ただ、味わいに関するクレームもあって、それは、気づかぬうちにメーカーの味づくりに影響を与えているように感じるのです。
2025年の阪神百貨店での木桶イベント、山川醸造の山川晃生さんがこんなことを話していました。「溜醤油についてのクレームって、色についてが多いんですよね」。いつもと比べて、色が濃くないというわけです。「うま味が足りない!」ではなく、「色が濃くない!」というもの。確かに、色の濃淡の方が直感的に分かりやすい。いつもより淡い色だと物足りなさく感じてしまう、そんな感覚は分かる気がします。
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似たような話を九州の醤油メーカーからも聞きました。「甘くない」というクレームはあっても、「甘すぎる」というクレームはないというのです。別の醤油メーカーでも、「確かにうちでも甘くないクレームはあっても、甘すぎるクレームはないな…」と。これは九州のどの醤油メーカーに聞いても同様の回答になると思われるくらいに、皆が口をそろえます。
生産者であれば、お客さんによろこんでほしいと思うのは当然で、届いた声にはできるだけ応えたいと思ってしまうもの。このような顧客の声が少しづつ積み重なって、知らず知らずのうちに少しづつ地域の醤油の味わいに反映されていたりして、なんて想像していました。

醤油の種類
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素材を活かすNo.1選手
白醤油
淡口よりさらに淡い琥珀色の醤油。料理好きな方に高い人気。お吸い物や茶碗蒸しなどに。
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美しき京料理に必須
淡口醤油
西日本でお馴染みの淡い色の醤油。素材の彩りや出汁を活かしたい料理に。塩やレモン代わりにかけても。
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甘みをつけた地醤油
甘口醤油
九州や北陸などでは一般的な存在。海沿いの地域ほど甘みが強かったり、それぞれの土地に根ざした醤油。
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幅広く使える万能醤油
濃口醤油
一般的な醤油で流通量の8割はこれ。新鮮なものは綺麗な赤褐色で、北海道から沖縄まで各地で生産。
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濃厚なうま味とコク
再仕込醤油
熟成期間の長い濃厚な醤油。味と香りのバランスがよく、刺身やステーキにまずお試しいただきたい。
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濃厚さとうま味はNo.1
溜醤油
大豆を多く、仕込水を少なくし、うま味を凝縮。ハマる方はとことん好きになっていただける醤油。
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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