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再仕込醤油がつくられている地域は?

再仕込醤油は濃厚な醤油

再仕込醤油は使われる原材料の量が多く、熟成期間が長い濃厚な醤油です。昭和46年発行の書籍にはこのように紹介されています。

こってりとしていて、一見、たまりのように見えますが、香りは濃厚で、甘味もあるので、白身の刺身や寿司のつけじょうゆとして、関西で使われているしょうゆです。造り方は濃口しょうゆと同じですが、塩水の代わりに、濃厚にするために、生じょうゆを使って仕込んだもので、しょうゆを二度醸造するようなあんばいになるため、再製しょうゆの名でもよばれています。生産量は白しょうゆよりもさらに少なく、まさにしょうゆの骨董品--とでもいえるもので、山口県の柳井地区で、わずかに生産されています。

しょうゆの本(柴田書店/昭和46年発行)

昔は、「再製しょうゆ」とよばれていた

再仕込醤油醤油は、甘露醤油とよばれることもありますが、当時は「再製しょうゆ」とよばれていたようですね。

また、2021年の統計データでは再仕込醤油の流通量は7120KLで全体の1%ほど。ちなみに、濃口醤油85.2%、淡口醤油11.2%、溜醤油1.9%、白醤油0.6%となるので、上記の時代と比べると生産量は増えています。

製造メーカーは全国に点在している

小規模メーカーが力を入れて生産しているケースが多く、全国に点在している印象をもっています。前述の通り、原材料は約2倍、製造期間も2倍かかるため、生産コストは2倍以上となります。そのため、大手メーカーは主力製品としては位置付けない傾向がありそうで、大手メーカーが注力をしたいということもあり、こだわってつくっている小規模メーカーが手掛けているのだと思います。

ただ、群馬県の正田醤油は日本で3番目の生産量を誇る大手メーカーですが、再仕込醤油にかなり力を入れている印象があります。そのおかげもあり、再仕込醤油の生産量No1は群馬県だと思います。

甘い再仕込醤油が好まれる地域も

一方で、山口県柳井市が発祥とされる再仕込醤油ですが、愛媛県や島根県でも甘味をつけた再仕込醤油が地域で流通していると思います。甘味のある濃厚な醤油という点では、九州にも共通するものがあり、ただ、九州では再仕込醤油という分類ではなく、甘味ととろみを強くした「さしみ醤油」とよばれます。濃口醤油、淡口醤油、さしみ醤油の3種類を保有するご家庭が多い印象です。

いずれの地域でも、万能醤油として再仕込醤油を使うというよりは、濃口醤油と再仕込醤油を素材や料理に応じて使い分けると、よりおいしく楽しめるのだと思います。