醤油の知識

100|2017仕込み

今年も10月下旬から醤油の仕込みが始まりました。
種類としては、濃口、うすくち、再仕込み、無肥料無農薬(濃口)
という、この3・4年変らないラインナップです。

今期の仕込みでの変更点は
・原料比を変える(濃口)
・汲水歩合を変える(濃口)
・大豆を潰す

1年目から原料比は等量(重量)、汲水歩合は11水でやってきましたが、今年は原料比6:4(大豆:小麦)、12水に変える事にしました。

初年度は全窒素1.50に、ギリギリ届いた感じでしたが、年々数値的には向上して8シーズン目の昨年分は1.75を越えたので、汲水を増やしてみようと思いました。

汲水を増やすだけだと想像できるので、原料比も変えてみよう。という流れです。原料比を変えて大豆が増えると、麹の嵩が増えるので麹箱の枚数も増えます。もちろん諸味の嵩も増えます(汲水も増やしているので尚更)。計算してみたら、桶に収まらない事が判明したので、原料比は最終的には5.5:4.5に変更しました。

そして、最後の「大豆を潰す」というのは、一昨年に食品をカットする機械に蒸し大豆を通した事がありましたが、あれをもう一度検証したいという事です。

仕込んだ諸味の結果は良かったのですが、わざわざ機械をオーダーで作成するとなると、そこまでの価値があるかな~ と躊躇して、昨年はそのままの大豆で仕込みました。

今年の夏、米の製麹に使用する蒸米の崩壊機を購入しました。
これは想像以上の活躍で米麹の品質が上がりました。そして、使いながらこれは大豆を潰すのにも使えそうだな~ と思い、試すことにしました。


これが崩壊機。
蒸し上がった熱い大豆を通すと‥。




見事に潰れて、潰れすぎて味噌を仕込むのかと勘違いする程の・・・ペースト状に。(2分割もしくは平らに潰れるのをイメージしたのですが‥)←予備実験ではそうだったのに~

大豆投入の初期段階でこれはダメだ‥と、思っていましたが身内に「大丈夫と」見栄を切っていたので引き返せませんでした。笑
この写真を撮りながら、さすがに今回は失敗するかもな‥と、内心焦っていましたが、無表情で淡々と割砕小麦を合わせました。



普段は大豆が粒状なので、スコップでしばらく混ぜたら均一になりますが、ペースト状なので粉をまぶして手で細かく成形する(搗いた餅を成形していくかのように)という、かなり面倒な作業が加わっていつもより2時間延びました。



ちなみに、今回は大豆の原料比が増える事で水分が多くなるので、小麦は通常より細かくしてみました。(粉が多いほうが水分をコントロールしやすいかな?という事で)



不穏な空気が漂う中、黙々と6人で崩して何とかこんな感じに。



大豆が増えているので1番手入れまでの温度経過に気をつけなければと思っていた上に、まさかのペースト状というハプニングもあり、不安しかありませんでしたが、温度や汚染も問題なく、菌糸がまわって意外に順調でした。



そして、次の製麹では前回の反省を活かして、大豆と小麦を合わせた状態で崩壊機にかけ、うまい具合に崩れました。ただ、そのままの大豆もあったので、3回目は小麦を半分量混合して崩壊機にかけ、その後残りの小麦を混合するという、少々面倒なやり方に変えました。

しかし、これが良好で以後それで処理しています。

9年目の仕込みとは思えない程の危うい出だしですが、今年も満足な仕込みができるように頑張ります!
(左が従来通り、右が混合後に崩壊機を通した状態)

城 慶典 (ミツル醤油醸造元)

1984年生まれの醤油職人。
高校生の時に自社での醤油醸造の復活を志して東京農業大学 醸造科学科に入学。入学後、「学校に通っているだけでは自分の求めるものは得られない。」ということに気づき、伝統的製法による醤油造りを続けられている醤油蔵を探し、卒業までに7つの醤油蔵で短期間の研修を受け入れて頂く。卒業後、岡本醤油醸造場にて一年間の研修。その後、JFCS(ジャパン・フードコーディネーター・スクール)で一年間学び2009年6月より、実家であるミツル醤油へ入社。2009年11月 夢である醤油造りの復活と、地元・糸島を全国に発信したい。という思いをリンクさせ具現化する、社内別ブランド「itosima terroir」(イトシマ テロワール)をスタート。

ミツル醤油醸造元