職人醤油の蔵元

丸又商店

大豆100%の溜醤油は海外でも人気

原材料表示は大豆と食塩のみ。小麦を使っていない溜醤油はグルテンフリー醤油ということでヨーロッパなど海外でも人気です。ただ、それより前からひたむきに溜づくりをしてきた蔵元には、使い込まれた木桶と石が佇んでいました。

文政12年(1829年)創業の丸又商店。

大豆100%の溜醤油

東海3県で主に生産されている溜醤油。愛知県の知多半島に位置する武豊町は溜醤油の蔵元が軒を連ねる溜の産地といわれています。その中で1829年創業の丸又商店は大豆100%で木桶による造りを頑なに守っています。

ただ、東海地方の方にとっては、「醤油といえば溜だ!」といわれる程、生活に密着しているのですが、東海地方以外の方には馴染みの薄いものかもしれません。

代表の出口智康さん。大手パンメーカーで10年間勤務した後に蔵に戻る。

溜の用途は幅広い

溜醤油は濃厚な味が特徴です。刺身用として使うものと思われがちですが、熱を加えると綺麗な赤みがかった色が出てきますので、照り焼きなどにも最適ですし、煮物や汁物としても美味しくお使いいただけます。「濃口醤油に5%くらいの割合でブレンドしていただくと、ぐっと旨味がアップするんですよ!」と出口さんが教えてくれました。

昔ながらの木桶が70本。整然と並んでいます。

攪拌でなく汲みかけ

溜醤油の麹づくりは、蒸した大豆を「味噌玉」といって親指程度の大きさに手で握って玉にしていきます。そこに少量の塩水を加えるのですが、少ないものだと濃口醤油の半分以下の塩水量になるので見た目には味噌に近い状態になります。当然、普通の醤油と同じようにかき混ぜることができないので、上から石を載せます。

上の写真の右手前の桶に柄杓と筒があると思いますが、この筒の中に溜まった液体を柄杓ですくって石の上からかけます。これを「汲みかけ」といって、たまり造りには欠かせない工程となっています。

溜づくりに石は大切な道具

溜の名称もいろいろ

調味料売り場などで、「たまり醤油」という名称を目にする機会があるかもしれませんが、地域によっては「醤油=たまり」と呼んでいたり、刺身醤油や濃い目の醤油のことを「たまり」と呼んでいたりもします。

JASの定める規定では醤油を五種類に分類していて、その一つが溜醤油となっています。流通量の多い濃口醤油が大豆:小麦=1:1なのに対して、溜醤油は大豆の比率が多いことが特徴です。そして、丸又商店では小麦を使用せずに大豆のみでたまり造りをしています。

圧搾された溜が滴る。一口なめると誰もが美味しいと笑顔になる。

自分で作っていないものを売れない。

「普通に当たり前に働きたいんです!」と丸又商店の出口さん。「お客様にお届けする商品の、原料や製造工程が安全であることって当たり前だと思うんです。だから、安全であることを当たり前にして皆で働きたいんです。そうするためには、全部自分のところで作るという今の形が自然なんですよね!」

出口さんは大手パンメーカーで10年間勤務した後に蔵に帰ってきたそうです。昔はこの土地から出たいって気持ちが強かったそうですが、パンづくりの現場から研究開発、海外赴任の経験を通して、「ふと振り返ってみると、自分の実家の家業が【日本として大切なもの】だって気づいたんです。もったいないなぁ・・・って。」こうして蔵に戻ることを決意したそうです。

圧搾機。
圧搾に使うろ布が干されている様子。
有機大豆を使った溜も手掛ける。日本・ヨーロッパ・アメリカのトリプル認定大豆。
海外に旅立つ溜。

熟成は時間をかけないといけない。

「熟成が進んだ段階でも毎日見回って頻繁に汲みかけをしてあげます。このように、一見、人が管理しているように見えるけど、醤油は自然に力によって作られることを実感するんです!

 発酵は温度をコントロールしてあげれば、効率的に進むけど、熟成は時間をかけなくてはいけない。どんなに人類の技術が進歩しても自然の熟成を早めることは出来ないと思うし、自然に力には勝てないのでは・・・って感じています。」

「蔵の規模を大きくすることは考えていない。より価値のあるものにしたいんです。」とのこと。「価値あるものって?」とお伺いすると、「高価だから日常使いに出来ないものは造りたくない。日々の生活になくてはならないもの。当たり前に「原料」「手間ひまかけて」つくられた醤油であること。そして、美味しいこと。結構単純なんですよ!」

開け放たれている蔵

「うちって蔵の扉が開けっ放しなので、防犯はどうしてるのだと聞かれるのです」と出口さん。確かに、蔵の横をご近所さんが行き来しているのが日常風景で、小学生も通学途中に何気なく覗いていました。でも、だからこそ、いつもと違う誰かが蔵の周囲をふらふらしていると、ご近所さんが気づいてくれるといいます。

「それに、蔵人も常に外から見られているというスタンスで作業をするので、悪いことはもちろん手が抜けないですしね」。閉め切って外部と遮断することでの安心ではなくて、開け放って周囲と一体になることでの安心が、そこにあるのだなと感じました。

原料表示に大豆と塩のみは本場の証

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尾張のたまり100ml
愛知県産大豆100%で造った東海地方独特の「たまり」。原料は「大豆と塩」のみ!杉桶の中で三年間じっくりと熟成させ、大豆のうま味が濃縮した濃厚なコクが特徴。

価格 : 550円+税
原材料 : 大豆、食塩
この蔵元への直接のお問い合わせ
株式会社 丸又商店
〒470-2544 愛知県知多郡武豊町里中152
TEL:0569-73-0006  FAX:0569-73-3917
http://www.marumata.com/