職人醤油の蔵元

福寿醤油

文政九年(1826年)創業。

醤油も地域も魅力を増していけるように

徳島県鳴門市。大鳴門橋から四国に入って車で15分ほど。四国遍路(八十八ヶ所)の一番札所 霊山寺(りょうぜんじ)のほど近くに福寿醤油はあります。木桶も有し、地元向けの昔ながらの甘いタイプの醤油と、大豆・小麦・食塩のみのシンプルな醤油も手掛ける蔵元です。

松浦亘修社長。不動産等の営業を8年。醤油蔵の跡継ぎ候補としては少し変わった経歴。
四国遍路のスタートの地でもある霊山寺(りょうぜんじ)。
地元では「一番さん」と呼ばれているそうです。
霊山寺から車で数分ほどで福寿醤油に。近づくと大きな煙突が見えてきます。今は使っていないそうですが、遠くからも目立つシンボルです。
事前予約で見学も可能。この入口にちょっとドキドキ。
中に進むと蔵が並びます。

子育てをしている自分を想像した時に

「小学校の時から、いつかは戻ると思っていました」と松浦さん。大学卒業後、不動産等の営業として大阪・東京で8年を過ごし、2012年4月に蔵に戻りました。

「30歳で結婚した時がひとつの転機でした。自分たちが子育てをしている姿を想像した時、思い浮かぶのは東京ではなかったんです。だって、そうですよ。自分が子供の頃はあそこの山を走り回っていたんですから」。

そう言って指差す方向には緑に覆われた山々がありました。

大豆を蒸すNK缶。国産の大豆と小麦を原料に使用。
麹室が3つある珍しい構造。ただ、連日仕込みができるので合理的。2月~5月に集中して仕込みをするそうです。

お客様に感動していただく

「不動産の営業の時代、先輩から教えこまれたのは”感動”でした」。いかにお客様に「感動」を提供できるか。そのためにコミュニケーションを重ねて自分にできることを考えるというものだそうです。

「これが自分の土台になっています。ここに戻ってきてからも変わっていないと思います。うちの醤油の良さは、生まれた時から食べ続けている私が一番知っているので、それをお客様にお伝えして味わっていただき、そして感動していただく。これですよね!」

コンクリートの発酵容器。
そして、木桶も並びます。

業務用途メインから個人客にシフト

息子が家業に戻ってくる時、親子のコミュニケーションや役割分担が難しいという話を耳にします。特に親父と息子は意見が合わずに喧嘩になるなんて話もよく聞きます。ただ、福寿醤油先代の判断はとても珍しい。 「好きなようにやれ」だったそうです。 しかも、帰ってきて早々にこのように言われたのです。 

「先代は製造一筋でした。醤油づくりにひたすら取り組んできた。だから自分に期待されている部分もなんとなくわかっているつもりでした。最初の一年は現場に入って改めて醤油づくりを学びました。蔵見学もはじめて自社の醤油の魅力を伝えてきたつもりです。当時は業務用途がほとんどでしたが、最近は個人のお客様が増えてきています。そして、外国の方も日に日に目にする機会が増えてきた印象です」。

ふと天井を見上げるとこの通り。

地元とともに

「ちょっと面白いことがおこっているんです。」と松浦さん。 「うちのすぐそこには造り酒屋さんがあって、大谷焼の作陶体験やレンコン掘りやしいたけ農家なども近くにあるんです。そして、みんな小学校・中学校時代の先輩後輩なんです!」 「皆が集まれば、あれしよう!これしよう!とワイワイ話し合っています。地域がまとまって地域としても魅力を増していけるようにしていきたいんです。多くの方に訪れていただけるような地域を目指していきたいです」。

まだまだ一升瓶が現役で活躍。回収されて洗浄乾燥させて再び各家庭に運ばれているそうです。

徳島でつくる国産大豆の二年熟成

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福寿醤油
比較的甘い醤油が好まれる四国において、甘くないシンプルな醤油造りもしている蔵。国産大豆と小麦、天日塩を原料に天然醸造で二年間。跡継ぎが戻り蔵も活気に満ちています。

価格 : 450円+税
原材料 :大豆、小麦、食塩
この蔵元への直接のお問い合わせ
福寿醤油
〒779-0303 徳島県鳴門市大麻町池谷字大石8番地
TEL:088-689-1008  FAX:088-689-1009
http://www.fukujyu1826.com/

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