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柴沼醤油見学 その2

長年使われてきた木桶から新しい木桶へ

小豆島での木桶づくりでは、木桶を逆さまにした状態で組み立て、竹箍をはめて完成させます。一方、柴沼醤油では、仕込みに使われていた木桶を解体し、そのままの場所に新しい木桶を組み立てる必要があります。しかも、周囲にはすでに醤油が仕込まれている木桶が並んでおり、広いスペースを取ることができません。そのため、決められた場所、決められた大きさで木桶を完成させなければなりません。蔵の床には、底板と同じ大きさの円が描かれ、その円にぴたりと合わせて、通常の向きで木桶を一から組み立てていきます。

今回新しく設置される側板の内側には、防水性と殺菌効果を高めるための柿渋が塗られていました。さらに、木の節には漆が施されており、それによって強度と耐久性が増すのだそうです。

30石(高さ2m)の木桶は、側板を55枚使用します。それらの側板は、3枚ごとに竹釘でつながれており、それを次々と組み上げていくのです。

ふと、上を見上げると作業中の上部から底板が吊るされており、まるで新しい桶の「完成形」を静かに見守っているかのようでした。

この作業を担っているのは、福島の木桶職人・伊藤大輔さんと、昨年から大阪の藤井製桶所で修行を始めた大高尚人さん。高さ約2メートル、直径もほぼ2メートルという巨大な木桶を、わずか二人で、しかも互いの姿が見えない状態で組み上げていきます。

「側板をちょっと起こして、外に倒して……あと2ミリぐらい、あたります」そんなふうに、作業中は絶えず声を掛け合いながら、お互いの手元の状況を把握し、微調整を繰り返していきます。まさに今この瞬間に、職人の技が次の世代へと手渡されているのだという実感が伝わってきました。

すべての側板が無事に組み終わると、次はいよいよ鉄箍をはめる工程へと進みます。

鉄箍は、竹箍のように一本の丸い形状ではありません。半円状の鉄材を、「まくら」と呼ばれる金具で繋ぎ合わせて輪を作っています。

伊藤さんは、すでに3本巻かれた鉄箍を、上の部分を締めたり、下の部分を締めたりしながら、慎重に調整していました。その手元を見ながらうかがってみると、こう教えてくださいました。

「鉄箍はね、下を締めると上が緩むんですよ。だから、少しずつ、順番に締めていくんです。でも、締めすぎると今度は底板が入らなくなっちゃうから。最後に底板を入れてから、またそれぞれの箍を締めて調整するんですよ」その言葉通り、1本ずつ、桶と対話をしながら慎重に締めていく様子が印象的でした。

8本すべての鉄箍が巻かれたところで、次は木桶の底を完成させる工程、底板の取り付けに移ります。

「柴沼醤油見学 その3」にて、ついに新桶が完成します!
ぜひご覧ください!

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