醤油の知識
山川醸造見学 その1

初めて溜醤油の蔵見学へ行ってきました
5/14(水)ー5/19(月)に開催された、第4回木桶による発酵文化サミットin阪神。今回は初めてのフル参加。連日ブースに立ってきました。
せっかく大阪まで来たのだから、どこか蔵見学にも行きたいな…そう思いあれこれ悩んだ末、「まだ見たことのない溜醤油の蔵に行ってみたい!」という気持ちが強くなり、岐阜県の山川醸造を訪ねることにしました。

新大阪駅から新幹線で名古屋駅へ。そこから在来線で約20分、岐阜駅に到着。名古屋から岐阜って、思っていたより近いんですね、びっくり!

さらに、岐阜駅からバスに揺られて約20分、山川醸造最寄りの「長良北町」バス停に到着。途中、長良川も見えました。

この日は太陽がギラギラ照りつける暑い一日。でも途中、電信柱に「山川醸造」の案内板が見えたときには、「いよいよだ!」とワクワクが膨らみました。

バス停から徒歩5分ほどで、山川醸造に到着。

どこまでも木桶を有効活用する蔵
早速、蔵見学へ。案内をしてくださったのは、山川醸造4代目の山川華奈子さん。幼いころから、この木桶蔵の中ででかくれんぼをして遊んでいたという華奈子さん。木桶蔵で育ったからこその思い出話に、思わずうらやましくなりました。
現在、華奈子さんは蔵と縁の深い猫たちと暮らしています。一匹目の「あおいちゃん」は、蔵の中でどろどろの状態で発見され、保護された猫。二匹目の「もうたろうくん」は、ある日ふらっとお店の前に現れてご飯をおねだり。翌日、道端で再び出くわし、とことこと着いてきたところを保護したそう。幼いころも、そして今も、蔵とともにある華奈子さんの人生が、じんわり伝わってくるようでした。


山川醸造では、小学生から一般の方まで常時蔵見学を受け入れています。蔵の入り口には、見学者向けの説明ボードが設置されていて、椅子に座ってゆっくり話を聞けるようになっているのですが、このテーブルと椅子、何か見覚えはありませんか?
実はこれ、すべて昔の木桶を加工して作られたものなんです。テーブルは木桶の底板、イスは桶で作業をする際に使っていた足場板。そしてイスを支えているミニ木桶は、かつて運搬に使われていた一斗樽なのだとか。
木桶を見せるだけではなく、使うという形で残している。そんな取り組みにも、木桶文化を伝えたいという気持ちがしっかりと感じられました。ちなみに、梅雨の時期になると木が湿気を吸って、じわっと醤油がにじみ出てくることも。そのため、ニスを塗ったりビニールをかけたりして、大切に手入れしているそうです。



まずは、蔵見学へ入る前に、説明ボードで「溜醤油のつくり方」の説明をしていただきます。
濃口醤油や淡口醤油とはつくり方が異なる、溜醤油。これまで何度もホームページや本で勉強してきたつもりでしたが、やっぱり現場で、模型を使って説明してもらうと理解がまったく違うんです。
中に入っている味噌玉は、男性の親指くらいのサイズで、これがまたリアル。これまで頭で知っていたことが、目と耳と肌で納得できた瞬間でした。
「山川醸造見学 その2」では、いよいよ蔵の中を紹介します!
ぜひご覧ください!

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原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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