醤油の知識
柴沼醤油見学 その1

醤油づくりの裏側へ!柴沼醤油で木桶入れ替えの現場を見学
4月21日から24日までの4日間、柴沼醤油で木桶の入れ替え作業が行われると伺い、見学にお邪魔させていただきました。柴沼醤油を訪れるのは、今回が初めてです。

見学の前に、柴沼和廣会長からおすすめいただいた「つけめん・らーめん活龍」さんで、手もみ中華そばをいただきました。鶏ベースのあっさりとしたスープには、鶏の甘みと柴沼醤油のうま味がどちらもはっきりと感じられ、あっさりしながらも力強さを感じる奥深い味わいでした。手もみの、やや太めの縮れ麺も心地よい食感で、とてもおいしくいただきました。

つくば駅前のバス停からバスに揺られて約20分。
最寄りのバス停に到着しました。「ここがバス停?」と思わず声が出てしまうほど、野道の途中にぽつんと現れたそのバス停に、驚いてしまいました。

そこから、のどかな田園風景の中を20分ほど歩くと、道の先に柴沼醤油の大きなロゴが見えてきます。さらに5分ほど歩くと、立派な正面玄関に到着。

江戸時代から受け継がれてきたという瓦屋根の大きな母屋が出迎えてくれました。この母屋は、40年ほど前まで実際に柴沼会長が住まわれていたそうです。瓦屋根の堂々たる佇まいと、深い色合いの木の柱や建具が、長い歴史を静かに物語っています。
正面玄関をくぐると、醤油蔵ならではの香ばしく、ほんのり甘い香りがふわりと鼻をくすぐります。この優しい香りを嫌う人はいないだろうなと感じました。

今回の訪問の目的は、二つありました。
一つは、長年使われてきた木桶を新しい桶へと入れ替える作業の見学。もう一つは、柴沼醤油の醤油蔵そのものを見学させていただくことです。
100年以上使われてきた木桶がその使命を終え、新たな木桶へと受け継がれていく。その現場では、ただ単に新しい桶を組み立てて運び入れるのではなく、蔵の決まった位置に合わせて、どうやってその場で組み上げるのか。この貴重な機会を見学できることがとても楽しみでした。また、柴沼醤油のような大きな工場を見学するのも今回が初めてで、空気の重みや香りを感じながら工場の中を歩いて見学できることも、大きな楽しみの一つでした。
そして何より驚いたのは、見学の案内をしてくださったのが、柴沼和廣会長だったことです。会長自らが案内してくださるという贅沢な時間に、自然と身が引き締まりました。

柴沼醤油には、木桶蔵が二つあります。そのうちの一つ「辰巳蔵」では、約130年にわたって仕込みに使われてきた木桶の入れ替え作業が行われていました。蔵の手前には、午前中に解体された古い木桶の側板、底板、そして竹箍が山のように積まれていました。
箍は、木桶をしっかりと締めつけるために非常に強い力で編まれています。そのため、内部が空洞のままで芯が入っていないと、締め付けたときに潰れてしまうこともあります。現代では、細い竹に縄をぐるぐると巻いた「芯」を箍の中心に入れることで、箍のふっくらとした美しいシルエットを保っています。
ところが、今回解体された古い木桶の箍には、木の芯が使われていました。それも、木材の中心部分、年輪が詰まったもっとも堅くて丈夫な部分です。

さらに、竹釘も非常に大きく、まるで人差し指ほどの太さ。こうした構造は、桶を壊して初めてわかること。まさに、歴史の断面に立ち会っているような感覚でした。

また、側板や底板には、かつての職人が残した落書きもありました。達筆すぎてはっきりとは読み取れませんでしたが、「七二号」と書かれているように見えました。今年、小豆島で組み上げた木桶にも落書きを残しましたが、こうして100年、あるいはそれ以上先の時代の誰かが、それを見て何かを感じてくれるのかもしれない。そう思うと、とても感慨深い気持ちになりました。

この日の外の気温は22℃。やや暖かさを感じる陽気でしたが、蔵の中に入ると、ひんやりとした空気に包まれました。土蔵造りのこの蔵は、夏は涼しく、冬は暖かい。加えて湿度も一定に保たれるため、醤油づくりには最適な環境なのだそうです。
蔵の左手奥へと進んでいくと、いよいよ今回の木桶の入れ替え作業が行われている現場が見えてきました。
ぜひご覧ください!

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